自民から民主へ機長交代して、早一年になろうとしている。しかし、いまだ不況の風は止むことなく、解決の糸口さえも見えない超低空飛行のまま、何とか飛んでいる日本機である。いつになったら十分な燃料と体力を得て、世界の空へ旅立てるのか。
日本の経済不況は、経済至上主義とその経済至上主義がもたらす数々の社会悪の結末でもある。現代社会に蔓延する種々の問題、それら諸悪の根源は、経済至上主義から来ていると言っても過言ではない。
なぜなら経済至上主義の損得、勝ち負けの価値観は、人間性を育むどころか自己中心的な考えを増長させ、無関心・無感動を養い、人間の心を荒さみへと導く。また、先人の培ってきた素晴らしい社会の伝統を踏みにじり、人間にとって忘れてはならない"大切な感謝の心"まで取り去っていく。社会環境汚染は、「聖職者(教師・医者・僧侶)の堕落」から始まったと世間で言われる。確かに、その批判は免れない。しかし、聖職者をも巻き込んでいくのが、経済至上主義なのである。人間の欲と野望が、長年に渡って複雑な問題を作り上げ、弱い立場の人々にとって、先行き見えない不安な生活を強いられている。
毎年、年末、クリスマスを迎えるたびに「戴いた恵みを貧しい人、困っている人と分かち合いましょう」と祈るあの言葉は、虚言なのか。お決まり文句は、実態とは関係のない口先だけの心地よいフレーズなのか。だとすればキリスト信者であっても経済至上主義に巻き込まれた一人ではないだろうか。
新たな年、あなたはどうするのですか?新たな年もまた変わらないのですか?
私たち六甲共同体は、新たな年に向けて新たな地区割に基づく活動計画を歩み始める。それは地区の活性化と同時に各地区における地域との"つながり"をより濃密にすることを目標に再出発するのである。したがって、共同体にとって新しい特別な年を迎えることになる。それはまたキリストの望まれる"いつも新しい人"に生まれ変わることでもある。新たな年に向かって、新たな気持ちで、新たな"つながり"を培って、一人ひとりがさらにキリストに似るものとなることを実践する。その為には例年通りの"そのつもり"ではなく、また周りが変わるとか変わらないからとかを判断基準にするのではなく、先ず、"わたし自身"から変わることが大切である。確かに私たちは、独りで生きている。しかし、今日まで生きてこられたのは、沢山の方々の"おかげ"によって生かされたことを忘れてはならない。
人は目に見えない"おかげ"に感謝することによって、人としての命を生かさせて戴く。それは「あたりまえ」のことなのである。しかし、「あたりまえ」だからといって、そのご恩を忘れてしまったのでは人として生きていけなくなる。難しく考えることはない。誰にでもできることである。その「あたりまえ」に対して、心から「ありがとう!」の感謝の言葉を伝えるのである。この一言が社会を変えるなんて大それたことを考えたくはない。しかし、この一言が今の社会から亡くなろうとしている。亡くしてもよいのだろうか。
「ありがとう」この言葉は、人間にとって感謝を表現する挨拶の言葉、コミュニケーションの始まり、大切な交わりの言葉である。
イエスは、今年もわたしたちの貧しさの中に生まれて下さる。そのイエスのみ心を素直に「ありがとう!」、喜んで受け入れることが出来ますように。そして心から「ありがとう!」って言えますように。 メリー・クリスマス!
さあ!「ありがとう」の輪(和)をあなたの地区、あなたの隣人から広げませんか!