『8月6日の朝 ぼくは14歳だった』
長谷川 儀 著(女子パウロ会)
この本は被爆体験を持つある司祭の自分史である。著者は体験を語ってほしいと講演依頼を受けたりするが、とても限られた時間内では語り尽くせないと思い記録に残された。
爆心地から2キロメートル離れた地点で被爆した彼は、身体半分、熱線による外傷で流れ出る血膿に加え、全身衰弱、誰の目にも死は確実と思われる状態にあった。その時、目には見えない不思議な力が働き、ドイツ出身のパウロ・ネーベル神父を通して、もう一度この世に生きることとなった。その時の様子を記録した文章は、3,4ページにわたるが、とても神秘的で感動的だ。この原爆投下の地獄のような世界にあって、神の指が働かれ、奇跡的に回復した少年が、後に司祭への道へと進まれた。そして今、ある教会の主任司祭をされながら、平和のために働き祈りつづけておられる。
終戦より65年が経った今、是非、この本の一読をおすすめします。 ( 釜田 )