この本は、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の原作と言える物語で著者マリアの目から見てつづられた、トラップ・ファミリーの物語です。
物語の中で「オーストリアの"田舎の"」待降節やクリスマス、四旬節やご復活祭の様子が、実に生き生きと語られています。典礼暦と自然の季節の移り変わり、そして人々の生活とが、ごく自然にひとつに溶け合っていることが伝わってきます。「なんと心豊かな暮らしだろうか」と思わされます。
信仰生活のエッセンスみたいなものがあるとして、この物語からも汲み取ることができるような気がします。 (青地けい)
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『おじいちゃんがおばけになったわけ』
キム・フォップス オーカソン作
(あすなろ書房)
小中学生向けにということで,今回紹介する本は絵本です。絵本は幼児のためのものだと思われがちですが,その中には大きなメッセージがあったりします。
この絵本では最初に主人公の「僕」が大好きな「じいじい」が突然亡くなります。死んだらどうなるの?ママに聞いたら「天国へ行くのよ。」パパに聞いたら「土になるんだ。」と言います。ピンと来ないと思っていたら夜になって死んでしまったはずのじいじいが部屋にいる。なんで?おばけ?僕が持っている本には「この世に忘れ物がある人はおばけになる」と書いてあります。じいじい、何か忘れている事があるんじゃないの?二人で一生懸命考えます。忘れていたのは・・・。
「死」がテーマになっているのになんともユニークで愛らしいお話です。この絵本は子どもにとっても身近に「死」について考えたりできるものだと思います。大切なこともきちんと描かれています。
そして、私達大人は最後のシーンでじんわり込み上げてきてしまうのです。
(吉村光基)