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図書紹介           『ユダヤ人の歴史』       
                                ポール・ジョンソン著(徳間書店)

 日本人として、極東の島に住む私達でさえ、今日では海外旅行をした時、映画を観ている時等、少なからず気がつくユダヤ人の存在です。特に私達キリスト教徒にとっては、主から選ばれた民族が今どのように生きているか、又、歴史の中でどのように生きてきたかという事はとても気になります。一般によく知られているナチのユダヤ人虐殺が全てなのでしょうか。ヨーロッパの人々の中でもイエス様がユダヤ人であったことさえ知らない人も多くいると言われるそうです。
 この「ユダヤ人の歴史」を著したイギリス人ポール・ジョンソンは、キリスト教の歴史は2000年であるが、ユダヤ民族の歴史はアブラハムから数えると倍の4000年、ユダヤ教とキリスト教は全く別の物と思っていたのに律法、祭儀等キリスト教はユダヤ教の上に出来上がったものだということに気づき、とても興味を覚えてユダヤ人の歴史を書こうと思い立ったそうです。
 この書は、選民の誕生、古代イスラエルの登場、離散と放浪の中世の暗闇時代、離散先の諸国で受けた栄光と迫害から恐怖の時代を経て現代のイスラエル建国に至るまでの4000年の雄大なスケールでの歴史を描いたものです。
 私はこの書でユダヤ人の歴史全てを著しているとは思いませんが少なくとも大まかな流れを知ることが出来るように思います。馴染み深い科学者や文学者等々、そうなんだと納得する記も多いです。聖書だけでは理解しきれないことも少しは理解できるかもわかりません。そして何よりもやはりユダヤ人は人類の代表として選ばれた民族なのだと気付かされます。                                             

                                                  (折川)


    『マザー・テレサは生きている カルカッタからの報告
                                      片柳弘史著 (教友社)

 「私があなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい。」というイエス・キリストの言葉を実践されたマザー・テレサの活動に感激し、15年前に愛を必要とする人達にご自分を捧げられたマザーが働いておられる神の愛の宣教者会へ行き、マザーと出会い、心を開かれた神父様の様子を察することが出来るようです。
 そして今回のカルカッタの旅は、マザーに司祭になりなさいと言われ、そのとおり神父になられ、六甲教会の司祭として信徒の人を伴って、多くの思い出があるカルカッタに滞在されました。滞在3日目の誕生日の朝ミサの描写は読んでいくうちに片柳神父様の緊張と懐かしい人達との出会いで喜びが伝わってくるようでした。神父様にとって大切な日が一日加わった事でしょう。
 「マザー・テレサは生きている」という題を付けられた神父様のお気持ちは、読み進んでいくうちに私なりに理解する事ができたように思いました。今回、カルカッタに行かれても、マザーは亡くなられていて会う事も話す事もかなわないのですが、様々な場所で出会う人達が全てゆかりの方々であり、場所もゆかりの場所なのに、マザー・テレサお一人がおられない。どこかにきっとおられるという思いが神父様の心の中におありだったのではと思いました。
 マザー・ハウスでのこの旅最後のミサは、マザーのお墓の前でのお祈りでした。神父様は「清い心は神を見る事ができる」というマザー・テレサの言葉を引用されて、私達の心の在り方を示して下さる言葉を話され、「いつも神の方向に目と心を向けて、神の愛を人々に伝えていく事ができるのです」とお説教されました。
 『与えられた使命は限りなく大きく、わたしの力はあまりにも小さい。だがマザーに出会ってしまった以上、マザーを通して神の愛に出会ってしまった以上、もはや逃げ出す事はできない。神にすべてを捧げた司祭として、すべてを神からいただきながら自分の周りにカルカッタを探し続けたいと思う』という言葉で結ばれています。                           

                                               (藤原 恵)

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