少し前のことになりますが、同窓会報の記事に、「こんな時代であるからこそ美しい人になって下さい」との先生の言葉がありました。そして美しい人になるための条件として
1.いつもにっこり笑うこと
2.自分のみにくさを恥じないこと
3.人の身になって思うこと
とあり、この本からの引用であると紹介されていたので手に取りました。
30年以上前に書かれたものなのに、全く古いと感じなかったし、今は80歳を越えていらっしゃるシスターが40代の頃の書かれた文章らしいのですが、もっとお年を召された方が書かれたもののように感じるのは、シスターの人生の重みと深さなのだと思います。大変頭の良い方な上に、相当勉強もなさっているのでしょうし、神様の用意なさった試練(お恵み?)も並大抵のことではなかったご様子です。
志のために自らを律して努力することが当然のことであるとの確信をお持ちなのは、恐らくあの時代の軍人の家庭にお育ちになったからではないかと思います。自分との戦いに意志の力と信仰という武器を持って戦う勇ましさ。祈りに支えられた絶え間ない努力。自分の自己満足に陥らず、子供に必要なものを見極めて与える指導者としての決意。正直に語られる自分の弱さや思いが示す潔さと本物の勇気。そして、2.26事件で父親が殺害される現場の様子まで、どの文章もとても厳しい内容なのに、力強いけれど一貫して穏やかな語り口は、シスターが神様の愛に包まれているからに違いないと思います。
あまりに遠い道のりにくじけそうになりますが、シスターの文章に心を動かされ、背筋を伸ばされ、美しい人になるために頑張らなくてはと思います。
(本郷 あい)