桜井 神父
皆様、明けましておめでとうございます。平成21年・西暦2009年という新しい年を迎えました。神の祝福のうちに新年をことほぎ、皆様とご家族・ご友人お一人お一人のご健康とご多幸を心から祈念致します。この地上の歴史・人類の歴史に、また新しい一つの時が刻まれました。その新しい時を厳粛に受け止めながら、私たちは教会共同体・神の家族として信仰を深める年でありますように!
平和な年でありますように! との切なる願いを込めて、新年の歩みを始めましょう。
"一年の計は元旦にあり"。NHKのテレビ番組「その時、歴史は動いた」を観ていて、一年の計に相応しい言葉を見つけましたので、ここにご紹介したいと思います。その一つは、「今一度、日本という国をせんたく致したき候」。明治維新に活躍した坂本龍馬(享年33歳)が横浜港でアメリカの黒船艦隊の異様を見て、驚きのうちに発した言葉です。新しい変化や未知なる世界に驚きながらも、内なる自分と生きている此の世界を見直したいと願う柔らかい姿勢を感じます。私たちにとっては社会の目まぐるしい変化に驚きながらも、全てを司っておられる神のはからいに心を馳せることではないでしょうか。また、日々心の洗濯をしながら、私の生き方・その姿勢は何処か曲がっていないだろうか、古い人間のままではないだろうか・・と究明しながら、神の子供として新しい生き方をしたい、自由で寛容な心を育てたいという願いに通じていると思います。
その二つ目は、「おもしろきことの無い世をおもしろく」。同時代の高杉晋作(享年29歳)が、幕府による長い封建時代を倒して、民主主義の新しい時代を目指した言葉です。階級制度(士農工商)や男尊女卑に苦しんできた人々にとって、味のある人生、生き甲斐のある心豊かな人生、生きていることが嬉しい(おもしろい)世の中を作りたい。そのおもしろさは漫才落語の面白さではなく、一人一人の人間が神様から与えられた尊い命を燃やしながら、一回の地上の人生、波乱万丈の人生を神に向かって生きて行こうという志を感じる言葉です。
二人の青年が命をかけて語った言葉には、なかなか含蓄がありますね。一年の計にしたい言葉です。しかし、同じ世代で十字架を背負われた救い主イエス・キリストは、さらに素晴らしい言葉を残されました。それは一年の計どころではなく、私たちの生涯をつらぬく言葉であり、永遠に消え去らない神の言葉なのです。「私があなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」「私の父のみ心は、子を見て信じる者が皆永遠の命を得ることである。」(ヨハネ福音書)。