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図書紹介 『お茶とミサ』 

ピーター・ミルワード著/森内薫、別宮貞徳訳

PHP研究所

 日本の茶道とミサ。私達にとって、全く異質であるこの2つに深いつながりなどあるのだろうかと、お考えではありませんか?私は去年からある信者の方の紹介でお茶を習い始めたのですが、その時におけいこの途中で、先生がお茶とミサの関係について触れられました。本当に関係があるのだろうかと思った時に、図書室で見つけたのがこの本でした。

 ミサと西洋人から見た日本の茶道、そしてミルワード神父の母国のアフタヌーン・ティーの歴史や時代背景を織りまぜながら、この3つの深い関わりについて述べられています。お茶とミサには偶然とは思えないほどの共通点があり、著者は茶道の創始者利休が隠れキリシタンであったとまで主張している。決定的な証拠がないにしても、本を読んでいると「そうかもしれない。」と感じてしまうのは私だけではないと思います。

 アフタヌーン・ティーについては、著者の子供の頃の思い出が書かれていて、その当時の温かい家庭の雰囲気が伝わってきます。ここでは、ホステスである母親の役割の重要性について述べられています。お茶を飲みながら、親子での会話を楽しむゆったりとした時間。今の忙しい日本の家庭に、一番足りない時間ではないでしょうか。

 ミサ・茶道・アフタヌーン・ティーに共通するのは、その場での「親しき交わり」を大切にしていることです。「親しき交わり」こそが究極の目的であると、著者も述べています。皆さん、少し手を止めて、お茶を飲んでゆっくり語り合いませんか?そんな著者からの呼びかけが聞こえてくるような本でした。                 

(黒森香織)

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