ホーム 六甲教会について お問い合わせ
図書紹介

『神の発見』

五木寛之 対談者・森一弘

平凡社

宗教ミステリーとも言うべき「ダ・ヴィンチ・コード」の話題をきっかけに、自称ブッディストと言われる五木寛之氏のエッセイと森一弘カトリック司教との対談と書き下ろしエッセイの本です。

対談の冒頭から、世間を騒がせた「ダ・ヴィンチ・コード」の質問に対し、俗な話になるのかと読み始めましたが、さすが森司教様、ていねいにしかもさらりと確信をついた答えを出しておられます。教会は正統な教義や信仰に明らかに反するものでない限り、民間の信仰伝承・伝説には目をつぶり、関与しなかったという懐の深さを話されている。五木氏は親鸞の言行を記録した「歎異抄」を読んで、熟読しておられる聖書の中に同じ部分、例えば他力本願、即ち大いなるものに身を委ねるという考え方を見つける話、「神との出会いの謎」「祈りの謎」「日本人とキリスト教の謎」「神に覆われた人ヨハネ・パウロ二世の話」など興味深い話題が続きます。

お金・地位・権力・健康に依り立った人生の中で、それらの支えを総てはぎ取られた時、人間の本当の慟哭があって、初めて人間の真実にたどりつけ、本当の救いの意味が見えてくる。それが十字架像の中にこめられている話しに共感します。「宗教は結局、地の底に足をおろさないと、どうしようもない」「傷つき、もがきながら、そこから叫び、神を求めていくときが、本当の信仰ではないか」と話される森司教様。 自分の人生を根っこで支えてくれるような福音の確かな受け取り方をして祈り、信仰を育てていく大切さ、また自分の生き方、自分の人生観を確立しながらキリストの心を生きること、人を大切に、人への優しさを失わず、神に目を向けながら現実を生きることを自分に言い聞かせながら、本を読み終えました。

 (藤井恵津子)

ページ先頭へ ホームへ
 六甲教会について お問い合わせ
(C) Copyright 2002 Rokko Catholic Church. All Rights Reserved.