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図書紹介 |
『栄光への旅立ち:函館トラピスチヌの修道女、メール・ベルクマンスの生涯』 トマス・マートン著/木鎌安雄訳 この本は明治時代、函館に厳律シトー会が創設されたのを機会に派遣された一人のフランス人トラピスチヌの生涯について書かれたものです。貧しさの中で生まれ、修道院の学校を出て、そのままトラピスチヌ修道院に入ったベルクマンスは26歳の時、函館の修道院に派遣されます。船でマルセーユより長崎まで、汽車で青森まで、船で函館まで、そこから馬車で修道院に着きます。冬は雪が吹き込んでくる鶏小屋と呼ばれていた修道院(写真掲載)を改装し、日本人の志願者を迎え入れて、修練長として働きます。やがて彼女は、肺結核にかかり、39歳で亡くなります。 函館の天使園の創立者と言えるベルクマンスの生涯については、日本に来るまでの生活はフランスの修道院に記録が、日本に来てからの生活は、当時の当別のトラピストの司祭の覚書があり、それによってマートンが書いたものです。ベルクマンスの働きは、キリストの教えた貧しさの中で生きることでした。驚いたことに彼女は、カルメル会の小さきテレーズを信心の模範としていました。なぜなら、まだ小さきテレーズが列聖される以前のことだからです。また彼女のナショナリズムを伝えるおもしろいエピソードもあります。第一次世界大戦中、ドイツの軍艦が函館に入港します。彼女はフランスと戦っているドイツの水兵の世話をするのに少し抵抗を感じますが、旅人の中にキリストを見る会の精神で、ドイツの水兵たちを助けます。 彼女の生涯はキリストに倣った生涯でした。彼女の死後、彼女の遺物が世界の各地の修道院に渡り、それによっていくつもの奇跡が起きています。しかし、列聖されることなく、天使園の墓地に葬られているのは、そのまま彼女の謙遜な生涯を示しています。また、本書は、明治期の日本のカトリック教会史の一資料でもあります。 (木鎌安雄)
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