「ヨハネの黙示録を読む」
今道瑤子著
女子パウロ会発行
ヨハネの黙示録を読みたい、あるいは読まなければと思っている人は沢山いらっしゃるでしょう。私も長い間そう思い続けていました。しかし奇抜でわけのわからないシンボルが次々と現れ、旧約聖書の知識もあまりないものには何のことか理解に苦しみます。何か優れた解説書を読むか、聖書研究会に入って勉強しなければ、この書を誤解してしまうだろうと思っていました。――「ヨハネの黙示録」は聖書の最後を飾る文書として、なんと慰めに満ち、希望をいだかせる書であろうか。――この本のオビにそう書かれているのを見て、その喜びの恵みをいただきたく思い、読み進むことにしました。
著者はまず「本文を読むまえに」と題してヨハネの黙示録についての文学的ジャンル、著者、著作年代、黙示録のシンボル、ヨハネ黙示録の構造を説明しています。それをふまえて本文に入ってゆけば、わかりやすく読むことが出来ます。そして今迄に何となく持っていたイメージを捨て、聖書と、この本を並べて読んでいるうちに、私なりに驚きをもって理解することが出来ました。
黙示録の著者である預言者とされるヨハネが、キリスト教の迫害が厳しかった時代に、啓示と励ましを兼ねたこの書を書いたのは、苦悩する同時代の人々の、「わたしたちの苦しみに意味があるのか」と言う問いに答えようとしたのであり、すなわち「多難な歴史的出来事は決して無意味な悲劇ではなく、歴史の背後にあって、それを必ず完成させる力のある神の摂理の鎖の一環であること、各自には救いの歴史の完成に寄与する生き方があることを教え、主への信頼のうちに、その愛に踏みとどまるように励ますことだと思われます」と書かれています。このことを私自身の中にとどめることが出来た時、慰めと希望を抱くことが出来るのだと思います。まずはこの本を通読することが出来、お恵みをいただきました。これからもう一度初めにもどって、学んでいきたいと思っています。何年かかっても・・・・。
(松田克子)
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