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図書紹介

「そっと耳を澄ませば」
三宮麻由子著
日本放送出版教会

「鴨群れて羽音河畔の風となる」
著者は4才の時失明、後大学院に進みピアノ、俳句など趣味とし、本を読むと晴眼者は情景が目に浮ぶ代わりに、音や香り、味、温度などが脳裏に伝わってくると言う。雨の日は、周囲にある存在を優しく音に訳してくれる。門柱に落ちてカァーンと小気味よく散る雨、路肩に転がった空缶に見事命中してキーンと歌う雨・・・。又山里で耳を澄ますと、虫の声、草木の揺れる音など自然界全体の音が耳に入り、とりわけ風は音や温度、肌のあたる感触をさまざまな表情をともなって季節のシグナルを送ってくれる。

「風流る音の速さや天高し」
雑音の多い世の中、著者のいう、音と音の狭間に透明な空間を醸し出す静けさに、心を任せることも必要なのだと思う。鋭い感性がこの本いっぱいに詰まっていて、心を豊かにしてくれる一冊だった。

(S.I)

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