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三日月会講演会報告

9月16日の総会での講演会を報告いたします。

演題 老人と眼
神戸海星病院院長 山中先生

先生は、42歳(1972年)から神戸海星病院眼科に勤められた。国際眼内レンズ学会、国際生態材料学会やISO:WG:7(眼内に移植する医用材料の世界標準化委員会)などにも所属され、世界的にも活躍されている。老人の眼で主に問題になるのは、次の三つである。

(1) 白内障・・・水晶体が濁ってくる病気。老人に多い。この病気は先生が以前から研究しておられ、46歳のとき、ある篤志家の患者さんに眼内レンズを入れられた。その後神戸大学工学部その他の協力を得て、体内に異物を入れても無害であるかどうか確認されていったということである。その後多くの研究機関と共同して、この眼内レンズは安全であることが判明していった。また、材料も硬いプラスチックから柔らかいものも用いられるようになり、今では二つに折って眼内で拡げられるようなものも作られている。手術も簡単で今では、15分くらいである。

(2) 緑内障・・・眼圧が高まり、視神経が障害されて次第に視野が侵され、やがて視力が低下してくる病気。これは、房水の出入りのバランスが悪いことから起こる。点眼や手術などの治療をしないと失明することがある。必ず眼科で診てもらうこと。

(3)血管系の病気・・・この中に[1]静脈分枝栓塞症、[2]加齢性黄斑変性症、[3]糖尿病性網膜症などがある。いずれも加齢や代謝の異常による血管の硬化や荒廃が原因で、病状によっては内科的治療だけでなく、レーザー光凝固術、ひどいときには硝子体手術を行わねばならぬことがある。

医学は確実に進歩していて、20世紀前半には、悪いところを切り取ることが治療の中心であったが、20世紀後半には次第にプラスマイナスをゼロにするために、切り取った所や悪くなった所を置き換えるための人工臓器が作られ、治療に用いられるようになっていった。そして、21世紀は細胞や臓器を再生させる再生医療が始められつつある。老人が眼の健康を保つために必要なことは、適当に美味しいものを食べ、適宜運動をして体を健康に保つことである。私のモットーは「元気に死のう」ということである。

以上のことを最新式OHPを用いて、最近介護の関係で一緒に仕事を始められた伊藤氏(緒方洪庵のご子孫)が助手につかれて、詳しく説明してくださった。

(三日月会 沖原)
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