ホーム 六甲教会について お問い合わせ
図書紹介

「神の御前で ― 祈りの時間の作り方」

J・フィリップ著
ドン・ボスコ社 2002年


いのちといのり − 人間にとって一番大切ともいえる2つのものが、ある古語辞典(岩波)では隣り合わせに出てくるのは、偶然とはいえ興味深いことです。それらの意味はともかく、もし私に向かって、ほんとにいのちを生きていますか、ほんとに祈っていますか、と問われたなら、胸を張るわけにはいかない。そんな私だから、あるカトリック作家がご自身について「私の寝る前のお祈りは大変おざなりで、最も短いものは3秒くらいです。"今日まで、ありがとうございました。"これで3秒です」云々と書いておられるのを見たときは、ホッとしたものです。といって、その方の信仰とか祈りを測ったりするならば、とんだ早合点をすることになるでしょう。

余談はさておき、上掲の書「神の御前で」は、てのひらに乗るようなコンパクトな、祈り(念祷)の指導書です。本書を読むと、祈りで挫折感を味わっている人のこころ(よく祈れない、長続きしない、念祷など自分に関係ないと思っている等々)をよく知っていることが伺え、そこを丁寧に、簡潔に導き正してくれているように思います。
著者は1975年に設立された新しい共同体(ベアティチュード:真福八端)の"牧者"として、フランスその他の国で黙想指導に当たっている司祭です。Sr.中山真里による翻訳がとてもよくこなれていることも手伝ってか、全篇に流麗な精神が流れているように感じられ、こころ惹かれる掌編でした。活字が大きいのもありがたく、500円という手頃感もあって、贈り物にもよいのではと思いました。

序文に書かれている「この書の狙い」を抜粋しておきます。
「念祷を扱った本は数多くありますし、偉大な観想家といわれる人々が念祷について語ることは、私たちよりはるかに優れています。しかし、念祷に関する教会の教えはもっと単純で近づきやすく、しかも現代人の感受性と言葉遣いを考慮して示される必要があると思われます。さらに神がそれぞれの時代の人々を導かれる教育法も重要です。この教育法は必ずしも過去のものとは同じではありません。この小さな本を書いたのはこのような思いからです。」

(柴田章彦)


ページ先頭へ ホームへ
 六甲教会について お問い合わせ
(C) Copyright 2002 Rokko Catholic Church. All Rights Reserved.