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図書紹介

「二十六聖人を偲ぶ」 

長崎への道 事務局


 図書室からは常々本の他にテープ・CDなどの貸し出しを受けているが、この度はこの本で楽しませてもらった。
  内容は、1597年にキリスト教徒二十六人が京都で捕らえられ、長崎まで護送された道を歩いた当教会巡礼団の記録を、長崎への道事務局が編集したものであり、特別な筋書きではないのに面白いのである。プロジェクトX流に言えば、「幾多の厳しい環境の中で自分自身と戦い、新しい巡礼の境地を開きながら目標貫徹に情熱を燃やした、熟年女性たちのドラマ」である。
  関西学院藤原教授の研究報文「巡礼行動の社会心理学的研究」によると、真の巡礼である歩き巡礼者の年間人数は、四国遍路が1,700人、サンチャゴ・デ・コンポステラが15,000人である。これに対して、この道の完歩者は100人単位らしいから大した記録と感じさせると同時に読み応えのあるものにしている。3年を要した旅はいつも全員一緒であったわけではなく、四人であったり、三人になったり、時には二人、ただ一人という状態でお互いの励ましと労わり、家族の優しく強い協力そして心からの祈りのうちに続けられた様子が克明に記されている。各人持ち回りで書き綴られた個性あふれる記録はバラエティーに富み、大笑いしたり、思わずホロリときたり、心配したりでこのように読む人に心配をかける本も少ないが痛快である。特に遅れをとった分を取り返す一人旅で、次第に自信を持ってくるのには驚異さえ感ずる。
  所々に散りばめられた切り絵・墨絵・俳句・短歌も楽しめ、本文以外の前書きそしてあとがきも素晴らしい。この巡礼(記)に刺激され、今年第二陣がスタートしたそうである。何年か先が楽しみである。

(志田智徳)


 

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